
「それはいいアイディア!もちろん、引き受けるよ!あ、でもちょっと待って、きこに聞いてみないとね」と言って、義姉(2番目のお姉さん)からの電話を切ったダニエル。あ、まただ...こういうふうに言われると、それが何であれ断れない。Yesを言ったも同然ではないか!(苦笑)
Thanksgiving(私の誕生日)に親戚で集ってパーティーをしようというのか?クリスマスだろうか?いや、もしかしたらこの夏にリユニオン(ファミリーで集るパーティー)を計画しているとか?または、親戚内での養子縁組で、うちに白羽の矢が立ったとか?とまぁ、そこはかとなく色々なシチュエーションが頭を巡った。
「実は、夏休みに一ヶ月ほどEmily(姪)をあずかって欲しいって言うんだ。いいよね。きこ、助かるだろう、ベビーシッターが来てくれるんだからさぁ」ということだった。「なぁんだ、そんなことか。いいけど...Emily自身は、本当にうちに来たいの?」というのが、私がひっかかるところ。なんせEmilyは、14歳。自分がこの夏何をしたいかくらいは、考えているだろう。あまりよく知らない叔父さんとあのちょっと変わったジャパニーズの叔母さんと、日本語を喋る子供達と一緒に過ごしたいと思うだろうか?
案の定...この夏、Emilyは、ダニエルの妹(彼女の叔母さん)の出産のお手伝いに、カリフォルニアに行くことを楽しみにしていた。ところが、出産間近になって、叔母さん夫婦に事情ができて、カリフォルニア行きがキャンセルになってしまったのだ。そこで、仕方なく(?)うちに来ることになった...というか、義姉(彼女のママ)が「そうしなさいよ」と戸惑うEmilyを横目に、そのように決めてしまったらしい。(笑)
とまぁ、そんな状況の中でEmilyをあずかることになった。初日のディナーテーブルで、「さて、うちで一ヶ月を過ごすと決めた以上、何か自分なりに達成したい目的というのがあるだろう。それが何だか言ってみなさい」とダニエルが言うと、彼女は、まっすぐに私たちを見て「両親から離れても自分の身のまわりのことができるようになること、子供達の世話がきちんとできるようになること、お小遣いの使い道を考えてきちんと管理できるようになること、料理ができるようになること」と言った。純真な中にすーっと筋が通っているなぁと感動した。私が14歳のときとは、ずい分と違う。
言うまでもなく、ここ数日、彼女のおかげで私は、とても助かっている。子供達はEmilyにべったりなので(ヒッヒッヒッ)、掃除をしたり、カードを書いたり、一息つくことが可能なのだ。義姉から「アントきこは、変わった食材を使うから、その全てをちゃんと味見して、レシピをもらってきなさい」と言い渡されたらしく、食事の用意をしていると、事細かに質問をしてメモを取っている。ちなみに、変わった食材...といっても、日本の食材のことを言っているのではない。普段、彼女の家の食卓に上るもの(ピザ、スパゲティー、チキンのグリル、ツナ、ピーナッツバター&ジェリーのサンドウィッチ)以外のもののことだ。今日のランチでは、白桃とプラムをこれまでに口にしたことがなかったと言って喜んだ。まるで外国人留学生のホストファミリーをしているよう。あ、外国人は私か。
それにしても、大きな娘ができたようで嬉しい。義兄と義姉に感謝しなければなぁ。