Sunday, September 11, 2011

パンダに捧ぐ

まるでロボット!!ファーストレゴリーグの話題ではありません。サムのヴァイオリンの弾き方が、まるでロボットなのです。(^^;)「どうしてロボットのような弾き方しかできないの?もっと感情を込めなさい!」と毎週のようにヴァイオリンの先生にきつく言われ続けているサムエル。確かに、これほどまでに感情を入れないで淡々と演奏ができるというのも才能かと練習につきあっていてよく思います。先日「もうどうやって感情移入/表現を教えたらよいのかわからない!」と匙を投げた先生に、レッスンに付き添っていたダニエルは「ロボットに教えていると思うしかないですね。プログラミングするとか...^^;」と、言ったそう。先生愕然としたに違いありません。

そこで、やってきました通達が...この私に。感情を込めた演奏ができるように練習させてくださいとのこと。「そういうことだから...やっといてね」というダニエル。私にプログラミングしろというのですか〜?!

ダニエルさん、これはそもそもあなたのせいなのですぞ〜。出会ったとき、あなたは感情を外に出さない/表現しない男だと思いました。いつも冷静でいられる人なら荒波を一緒に乗り越えてゆくにもだいじょうぶそうだと、そこに魅力を感じたのは嘘ではありません。でも、結婚してからしばらくしてふと不安になったことがあります。この人はもし私がいなくなっても、淡々と何ごともなかったように生活してゆけるのではないかと...それが無性に悲しかったのを思い出します。若かったのですね〜。(笑)今年結婚20年目に入り、現在は...感情の起伏があまり外に出ないということがいかにありがたいことかと痛感しています。ダニエルのお父さんもほとんど感情を表に出さない人でしたので、これは遺伝なのでしょう。しからばその孫であるサムもそれを受け継いでいるということですな。あ〜あ。

どうしたら感情を込めた演奏ができるようになるのか...考えた挙げ句、曲にサムがかわいがっているにわとりのストーリーをつけてみました。La Foliaという曲をパンダ(うちの雌鶏)の悲劇と題して練習させることにしました。パンダはひよこの頃は気が強くて餌を他の誰よりも食べていたのですが、ある日犬に襲われて、お尻に重傷を負い、黄疸になり、卵が産めなくなり、群れの最下位に落ちてしまったのです。にわとりの厳しい世界です。サムは曲に対してやパンダに対しての自分の感情は表現できないけれど、悲劇の中にいるパンダの感情(あるとしたら?)ならば表現できるかもと、以前よりは変化をつけて弾く努力をするようになりました。自分が感じて表現しているのではなく、パンダの悲劇を代弁するようにプログラミングされた結果です。でも、先生にはこの私の薄っぺら〜いプログラミング、すぐにバレてしまうでしょうね。(^^;)

さて、ここ数日黄疸がひどくなったパンダですが...午後、草むらで静かに息を引き取っていました。2010年春組...うちの第一号の群れの一羽でした。

モモ(熊ではありませんよ)の餌を分けてもらうパンダ(左)とブラウニー(右)

La Foliaは、パンダに捧ぐ曲として、いつかサムに農家での少年時代を思い出させる一曲となるのかもしれません。


2 comments:

イーストリーのだんな said...

ロシア系のヴァイオリン奏者に、感情をほとんど込めずに客観的(冷徹)に正確に演奏することを売り物にする人が結構たくさんいますが、このスタイルだとよほど技巧的に凄味がないと聴き手としてはつらいでしょうね。
やはり、情感のこもったいい演奏に沢山触れることが一番だと思いますよ。韓国人ヴァイオリニスト、チョン・キョンファの演奏なんて、これでもかというくらい没入した感情的な演奏で聴かせます。
がんばれ、お母さん!

きこ said...

イーストリーのだんなさん、

ありがとうございます!考えてみれば、私自身がヴァイオリンをやったことがないので、技巧的なことを教えることもできず...おっしゃるとおり、よい演奏に触れさせるというのが一番ですね。チョン・キョンファさんの演奏をさっそくYoutubeで聴いてみます。年末はバレエチーム(マリと私)、ヴァイオリンチーム(サムとダニエル)に分かれて年末はコンサートにくり出すとしますか。←チケット代を節約するために。(^^;)電車に乗ってロイヤルバレエを見に行けるところにいるイーストリーファミリーが羨ましいですよ〜〜。

そういえば、ロンドンでの暴動、大変だったですね。どうされているかなぁと気になっていました。交通も昼間の治安ももとにもどっている頃かとは思いますが。