Saturday, April 14, 2007

十戒

                
小学生の頃、朝の会で、「今日のめあて」というのを多数決で決めていた。たいてい、授業中に私語をしないとか、人の悪口を言わない、人に親切にする、うそをつかない、差別をしない...というようなことがあがっていたと思う。子供たちに社会のルールを教えるための、道徳教育の一環(?)だったのだろうか。しかし、悲しいかな...「今日のめあて」は、子供たちのあいだでは、お互いがお互いを裁く便利なToolになっていた。帰りの会では、決まって、「〇〇さんは、うそをつきました」とか、「〇〇さんは、私に悪口を言いました」などという告げ口があり、めあてが守れなかった人は、立たされ、みんなからの冷ややかな視線をあびながら、詫びなければならなかった。

クリスチャンのホームスクールグループClassical Conversationsの朝礼では、「今日のめあて」のようなルール...でも全く違った機能をするものがある。十戒だ。いつだったか、十戒を声に出して読んだことがある。Classical Conversationsでは、歴史の課題で、十戒を暗唱するというのがあるので、子供たちは得意そうに、早口で唱えた。

1.あなたには、わたしのほかに、神々があってはならない。
2.あなたの神、主の御名をみだりに唱えてはならない。
3.偶像を作ってはならない。
4.安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ。
5.あなたの父と母を敬え。
6.殺してはならない。
7.姦淫してはならない。
8.盗んではならない。
9.あなたの隣人に対し、偽りの証言をしてはならない。
10.あなたの隣人の家を欲しがってはならない。

十戒の全てを言い終えた後、ディレクターが「さて、これら全てを守れていると思う人手を上げて」という質問をしたら、小さな子供たちが数人、競うように手を挙げた。「半分くらいなら、守れている人は?」という質問には、わずかな人数の低学年の子供たちが手を挙げた。大人は、誰もいない。「ひとつくらいは、どうですか?」というのにも、やはり大人は、誰もいない。私もその大人のひとり。私は、床を見つめたまま、顔をあげることすらできなかった。

「みなさん、これらを今日一日守りなさいと言っているのでは、ありません、私達人間には、これらを完璧に守ることなどできません、できないから、Jesus(キリスト)が必要なのです」という言葉でしめくくられた。

十戒は、罪を教えてくれるが、私達人間が、お互いを裁くためのものではない。

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