Thursday, August 02, 2007

ようこちゃんとの出会い

                     
3本目の歯が抜けた!

「ぼくは、6歳になったら、もっと速く走れるようになって、もっと高くジャンプできるようになりたいです...」というのが、サムの6歳になった夜の祈りだった。かわいいなぁと思いながら、その彼の祈りにアーメンと声を合わせたとき、なんだか胸がいっぱいになった。

小 学生の頃、私はバス通学をしていた。毎朝同じバス停で2~3つ下(たぶん)のようこちゃんという子と、顔を合わせていた。一度も言葉を交わしたことはな かったけれど、彼女の大きな瞳と真っ黒で光沢のある美しいおかっぱの髪が、とても印象的で、ランドセルの横に大きく書かれた彼女の名前をいつまでも覚えて いた。今でもあの頃のバス通学のことを思い出すと、彼女のランドセル姿が鮮明に浮かんでくる。大人になって、彼女と街ですれ違ったなら、彼女は私には気が つかなくても、私は一目であのようこちゃんだとわかると思ったほど。しかし、残念ながらその後、彼女を見かけることはなかった。そして大人になったある 日、ひょんなことから、彼女とはもう二度と(少なくともこの世では)会うことがないことを知らされた。

成人式を迎えた年の春だったと思 う。当時働いていた会社の隣にあった製菓工場の事務に入った女性のネーム印を注文していて、ようこちゃんのことを思い出した。同じ苗字...それもかなり めずらしい苗字。もしかしたら親戚かもしれないと思い、名簿で住所を確認したところ、その女性があのバス停の近くに住んでいることがわかった。そこでネー ム印を届けたついでだったと思うが、製菓工場に行き、その事務員の女性にようこちゃんのことを尋ねた。

「あぁ、それは私の娘ですよ」と 言ったこの女性は、まさに、あのようこちゃんの母親だった。まるで宝くじにでも当たったような気分になった。しかし次の瞬間、彼女が続けた言葉に、私のテ ンションは急降下してしまった。「でも、亡くなったんですよ、もうずい分となりますが。」

一人っ子(だったと思う)のようこちゃんは、小 学校6年生のときに、突然、白血病だと診断された。キリスト教系の私立の中学校に受験を決めていた彼女は、治療で弱った体でその学校の校門から続く長い坂 をやっとの思いでのぼり、受験をし、合格までこぎつけた。しかし、入学式を目前にしたある日、彼女は、息を引き取った。

ようこちゃんのお 母さんは、本当に安らかな笑顔で、私に亡くなった娘さんのことを淡々と語って聞かせてくれたのだが、私のほうは、何ともいえない複雑な気持でいた。「よう このあの大きな目とおかっぱの黒髪は、とても印象的だと、みなさんよく覚えてくださっているんです」と言うお母さんの言葉に、あのバス停でのようこちゃん の姿をさらに詳しく思い出そうとした。まるで古い8ミリで撮った画像に見入るように。きっと、あの大きな瞳と黒髪は、多くの人に彼女の存在を印象付けるた めに、神様が彼女に与えたものだったんだね。

当時は、若くして病死したほぼ同年代の女の子を哀れむ気持が強かったと思う。しかし、今は私 も親の立場。そして神様に救っていただいた身。ようこちゃんのお母さんがどのような道を通ってこられたか、いたたまれない気持にさいなまれながらも、彼女 の安らかな語り口調を思い出しては、もしかしたら、すでに神様を知っておられるのでは...そうでないとしたら、伝えたいと思うようになった。

サ ムは6歳。からだの成長と共に走るスピードも速くなるだろうし、ジャンプもさらに高くできるようになるかもしれない。しかし、それは生まれてくる子供達全 てに与えられるものではない。もちろん私も子供の健康と成長を切に願う一人の親ではあるけれど、どんなときも彼らに一番よいものを与えてくださり、守っ てくださる神様を信じ受け入れたことで、多くの心配から解放されている。

サム、マリ、そして私自身に...「神様にその道をゆだねるならば、たとえこれから先、どんなことがあっても絶対にだいじょうぶだから...ゆだねさえすれば...ね。そして、これから先、多くを望んだりすることなく、むしろ、今、この瞬きしている瞬間に、あたえられているものひとつひとつを神様に感謝しようね。」

あなたの道を主にゆだねよ。
commit your way to the Lord;
主に信頼せよ。
主が成し遂げてくださる。
trust in him and he will do this
詩篇(Psalm 37:5)

2 comments:

Yukiko said...

なんか、ぼろぼろ涙が出てしまいました。
可哀想なのもそうなんだけど、多くの人に印象付けようとした神様の御心、本当にそうなのでしょうね。

私なんか、苛々してしまうと、ついきーっとなって、我が道を無理やりにでも突き進もうとしてしまう事、最近多いです。
道を用意してくださっている事を知っているのに、、、大反省させられました。

ところで、サム君、3本も歯が抜けたの?
うちのメガンは6才半になるのに、抜ける気配まったく無し、、、大人の歯、生えてくるのか心配になってきちゃう。

きこ said...

yukikoさん、

私もいつもこうなるといいなぁとか、ああなるといいなぁと私の理想(神様から見ればかなり不完全な)を描いて、それを子供達に押し付けてしまうことがありますが、同時にそれがどんなにむなしいことか、その度に気づかされます。(^^;)お互いに神様に知恵をいただいて、ママ業、がんばりましょうね。

サムは、乳歯が生えるのが異常に早かったからでしょうか。これも個人差があるのでしょうね。でも、よく言われましたよ...歯は、(永久歯も)なるべく遅く生えてくるほうがいいんだよって。虫歯になる確立が低いとか。半年に一度の歯科検診で特に何も言われていないのなら、だいじょうぶですよ!そのうち、ポロポロ抜けてきますよ。