Thursday, May 25, 2006

天空の城から見た下界


「陣 痛がはじまったら、写真の風景を頭に思い描くのですよ」とアドバイスを受けたのは、2003年にマリの出産前に通った出産準備クラスでのことだった。陣痛 のときに、自分が一番好きな場所や大事な人の写真などを見て、それを頭に思い浮かべることで、痛みを乗り越えようというのだ。

「そ うねぇ、白い砂浜に椰子の木なんていいかもね」とナースに言われて、思わず首を横に振ってしまった私。トロピカルなものが大の苦手。海の青さや海洋生物は よしとしても、暑さや異常なほどの湿度、それにさんさんと輝く太陽を想像してしまうともうダメ。ペットの写真は効果的だけど、夫の写真は、やめたほ うがいいという。「誰のせいで、今私はこんなに苦しんでいるの!」とリラックスするどころか、逆に血圧が上がってしまうから?(笑)

私が 選んだのは、この一枚。Cordes sur Ciel(空の上のコルド)と呼ばれるフランスの南西部の街。13世紀に小高い丘の上に築かれたこの城塞都市は、その名のとおり空の上にぽっかり浮かんで い るように見える。この写真は、早朝、その天空の城から見た下界の風景を写したものだ。1歳半のサムを連れての楽しい南仏の旅だった。

さ て、この風景がどれだけ陣痛の痛みをやわらげてくれたかって?実のところ、私には全く役に立たなかった。(苦笑)写真だけではない。呼吸法や楽になる体 勢、好きな音楽や香り、その他マッサージグッズなど…実際に陣痛がはじまったときには、あまりの痛みにそんなものはもうどうでもよかった。つまりUselessだった。

サムのときも同じ。呼吸が乱れる私にダニエルが親切にリズムをとって呼吸を正そうとしたが、助かったどころか、それに無償に腹が立ったのを思い出す。マリのときには、それを心得てい たダニエルは、苦しむ私を横目に分娩室の床でひたすらサムとレゴで遊んでいた。一人目と二人目の違いだ。そのため、マリが出てきたときのビデオがない。 (ごめん、マリ!)

今夜は7月に出産を控える友人を思う。安産でありますように。

女が子を産むときには、その時が来たので苦しみます。
A woman giving birth to a child has pain
because her time has come;
しかし、子を産んでしまうと、ひとりの人が世に生まれた喜びのために、
but when her baby is born she forgets the anguish
もはやその激しい苦痛を忘れてしまいます。
because of her joy that a child is born into the world.

(ヨハネ John 16:21)

1 comment:

きこ said...

myaさん、

どうもありがとう!一人目のときに色々あったから、二人目がさらに高齢出産で、かなり不安らしいの。